最新3Dプリンター見学してきました

昨年末にMaker marketに行って来た日記で、「とあるデザイン会社様へ見学に行ったレポートを書きます」と宣言したままになってしまっていましたので今日は、遅ればせながらその時の事を書きます。
MakeresFaireへ行った日に、渋谷・道玄坂にあるケイズデザインラボ様にて、新規事業に取り組んでいるモノづくり企業が集まってプレゼンするトークイベントもあったのですが、こちらには間に合わず。
MakersFaireが思いの他回りきれず、トークイベント終了間際に滑り込むこととなってしまいました。
トークイベント後の3Dデジタルツールのショウルームの見学は参加することができました。

fc2_2013-01-08_14-42-25-760.jpg最初にネットで写真を見ておどろいた3Dプリンターで作ったモンキースパナ。色んな大きさがあって、ちゃんと動く。

3Dプリントした住宅模型パーツが解体できる住宅模型。装飾の細かいところまで作られている。

3Dプリントした歯形医療用に使えそうな歯型。

3Dプリンターで出力した幾何学立体こんな入り組んだハニカム構造も作れる。

▲▼ビニール袋に入っているものは、ワックスの「サポート」と言われるものが掃除されていない状態。
このワックスが複雑な構造までもプリントできるミソ。
マルチジェットモデリング3Dプリンターで出力した図形

要は、製品の空洞になる部分はワックスで、製品になる部分はプラスティックでプリントして、後でワックス部分だけを掃除するのだそうです。(マルチジェットモデリング技術)

ここまでの展示サンプルは、貰ったカタログから、3D SYSTEMS社のProJetというシリーズの製品のようです。
このタイプのプリンターはウチのような弱小個人事業所が手を出せるほど安価なものではないようでした。(お高いうちは手を出せる会社も少ないだろうと、ちょっと安心してしまう小市民な造形屋の妻なのです)展示室では上記のプリンターが作動中でしたが、音も驚くほど静かでした。

3Dプリンターはそのほかにもプラスティック樹脂をレーザーで固めて成型するものや(これがまた凄い)
紐状になったプラスティック材料を融着して成型するタイプのものもあります。▼

このタイプは比較的入手しやすいお値段のようです。
3Dプリンター見学会2
ただし、製品には紐状のプラスティックの層が表面の凹凸として残ります。
しかし、オフィスにこれがあればカッコいいと思えるようなデザインのプイリンターです。

3Dプリンター出力作品
これはまた別のタイプの3Dプリンターで作られたサンプル。下にサポートが残る。

塗装に関しては、従来の2Dプリンターの再現性にはまだまだ至っていないですが、いずれそんな技術も開発されるだろうと、ひそかに心の準備をしておこうと思います。(一応、私、塗装担当ですので)

スタッフの方とお話しする中で、お互いの抱えるコストの課題が反比例する関係であることが興味深かったです。
私たち造形屋仲間では5軸の大型NCマシンで低コストに原型製作する会社も増えてきているのですが、小さすぎる製品は割高になりやすいという難点があります。
ところが、オフィス向きの3Dプリンターでは、材料費やプリンターの稼働時間の関係から、大きな製品が割高になりやすいのだそうです。
また、3Dプリンターはゴミがとても少ないですが、NCは切削くずがでます。より多くの素材に対応しているのは現状ではNCと言えるでしょう。どちらの特性も理解しておくと良いですね。

3Dプリンターは数年前にTVで紹介されて少し話題になった時には、かなりのお値段だったように記憶しているのですが、わずか数年でここまで一般に広がるよそおいを見せているのには驚きです。

※海外のハンドメイドマーケットサイトで、頭蓋骨の造形を素敵な作品に仕上げたものを見つけました。(ハンドメイド品のジャンルに入るのか微妙な気もしますが)
※こんなブログの記事もありました。「圧倒的。彫刻家が3Dプリンタを使いこなすと」

このように様々なジャンルの人が3Dプリンターの可能性を広げていくことになるのでしょうね。
ここまで3Dプリンターをフィーチャーしてきてなんですが、本当は一番興奮したのは「デジタルクレイモデラー」を試した時でした(汗)
PCの画面上のクレイを触っている感覚を再現できるツールで、まさに彫刻や粘土造形をしているかのような感覚でした。
これはかなりのお値段ですが(とはいえ、数百万円なので中小企業でも導入しようと思えば可能な範囲でしょう)、造形師が使いこなしたら3Dプリンターでも、NCマシンでも、一味違うものができるのではないかと思います。やはりデーターありきの3Dデジタルツールですからね。

まあ、明日や明後日に急に何かが変わるわけではないのですが、日々世界で新しいものが生まれては消えていく時代、とても最先端とは言えなくなってしまった造形屋ですが(最先端だったことはあったのか?)、「作ること」が好きな「つくりびと」の集まりであることは変わりありません。
機械ではなく、自分たちで何かを作り上げることに喜びを感じる一方で、こうした最新技術に刺激を受けるのも時には良いものだなと思いました。
ちなみに今回見学させていただいたのはCUBE(3Dデジタルツールの体験スペース(3Dデジタルツールの体験スペース)というところです。とても親切なスタッフさんが対応してくれました。どうもありがとうございました!

3Dプリンター見学会1

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